しな布【山形県】
落葉広葉樹である“科(しな)の木”の樹皮を剥ぎ、内皮をとり乾燥させ、水に浸し灰汁で煮、米ぬかに漬け、しな裂きをして、績み、そして撚りをかけ糸にして、機で織り上げます。日本の衣の原点でもあり、縄文・弥生時代からの製法を今に伝える貴重な織物です。
すべての工程が手仕事で、完成までに1年という長い時間と手間を必要とします。ざっくりとした素朴な手触り、自然な色合い。特に通気性がよく、軽く水にも強く使い込むほどに木肌の艶がでてきます。山里の暮らしの中で、脈々と受け継がれてきた伝統と、気の遠くなりそうな根気のいる作業を経て、生み出される素朴な風合いの布には、力強い生命力が溢れています。