豊かな自然に恵まれた暮らしの中で、人々は身の回りの植物や山に自生する木の皮・蔦・草木を採取、栽培し繊維を採り、糸にして、素朴で野趣あふれる布がつくられてきました。
この自然の布は、絹や木綿の歴史よりも古く「古代布」とも呼ばれ、ひとつひとつの工程に緻密な技と根気を要求され、織り上げるまで全て手作業で仕上げます。
この自然の布は、絹や木綿の歴史よりも古く「古代布」とも呼ばれ、ひとつひとつの工程に緻密な技と根気を要求され、織り上げるまで全て手作業で仕上げます。
丹波布【兵庫県】
越後上布【新潟県】
しな布【山形県】
楮紙布(とうしふ)【新潟県】
楮布(こうぞふ)【新潟県】
藤布【京都府】
山野に自生する藤蔓の皮を剥いで、糸を作り織り上げた布を「藤布」と言います。藤布の歴史は長く、万葉集の中にも「大君の塩焼く海人の藤衣」と藤布が使われたことが詠まれています。また、元弘2年(1332年)に幕府によって、隠岐に流された後醍醐天皇が藤の苗木を隠岐に持参されたという逸話もあり、藤を愛された天皇が藤布を身に纏われ、都に思いをはせられたとも語られています。
古代日本の織物である藤布は丹後地方でその技術を伝えています。
紙布【新潟県】
和紙を細く切り、こより糸にして織った布を「紙布」といいます。経・緯ともに紙を使った諸紙布もありますが、経糸に木綿や絹を使った綿紙布や絹紙布も多く見られます。
紙は保温性があり、軽く汗取りもよく、乾きも早く水に通せば通すほどに丈夫になる特性を持っています。
植物から繊維を採取し、布に織り出す・・・。
原始布は、有史以前から連綿と織り続けられてきた布です。
その力強さは、本物だけが醸しだす・・・。
自然の恵みから作り出される布を魅力と素晴らしさを存分にお楽しみください。