八重山上布の海ざらし 見る人をも涼風の世界に誘う夏のきものの美しさ・・・・袷のきものに比べて、夏のきものは種類が豊富です。また、生地の織りなす風合いの奥深さを感じさせてくれるのも、夏のきものの魅力でもあります。ここ年々、夏ものの生産反数は少なくなってきています。琉球壁上布~りゅうきゅうかべじょうふ●沖縄県 ●素材:生糸南風原地方の歴史ある織物で、壁糸とと呼ばれる撚りのかかった糸や駒糸を用いた織物。いずれも薄く張りがあり、サラリとした風合いから絹織物でありながら、薄い麻織物に似た地風のためにこう呼ばれます。壁糸のもたらす独特のシャリ感が好まれます。八重山上布~やえやまじょうふ●沖縄県 ●素材:苧麻と麻苧麻糸の平織りで、石垣島と竹富島で織られる、硬くて張りのある織物。白地に紅露(ぐーる)と呼ばれる植物の根から採った染料で染めた、独特の茶褐色の絣糸が特徴。絣が一般的ですが、縞や格子柄のものがあります。喜如嘉の芭蕉布~きじょかのばしょうふ●沖縄県 ●素材:糸芭蕉の繊維糸芭蕉の繊維で織られる、沖縄の代表的な伝統織物。麻よりもさらに強い張りと、これ以上は望めないほどの群を抜いた通気性が魅力。絣は手で括り、車輪梅と琉球藍で絣をつけた糸芭蕉の繊維を織り上げます。宮古上布~みやこじょうふ●沖縄県 ●素材:苧麻極薄、精緻の極み、複雑な究極の小絣が魅力のおしゃれな織物。複雑な絣模様は締機か手括り。生松葉の煮出し汁に芋のでんぷんをつけて杵で、叩くことによって生まれる独特の光沢が、おしゃれな女性の心を引き付けます。能登上布~のとじょうふ●石川県 ●素材:麻「蝉の羽」と呼ばれるほど、薄く軽やかな究極の夏素材。シャリ感のある涼しげな味わいある魅力的な麻織物です。現在は織元が一軒しか残っていないため、生産反数が極わずかな希少品でもあります。夏大島~なつおおしま●鹿児島県 ●素材:生糸染織技法や締機を用いる絣の技法は、一般の袷素材の大島紬と同じですが、使用する糸は撚りの強い細い生糸で薄く織られます。泥大島のみならず、藍、白など様々な色合いが楽しめます。鋭い光沢が涼やかで、シャリ感も抜群。おしゃれなきもの愛好家の女性にオススメです。夏黄八丈~なつきはちじょう●染=東京都八丈島 織=新潟県小千谷 ●素材:駒糸東京都の離島「八丈島」に自生する草木で染め、新潟県の小千谷で織られています。縞・格子で表されるシンプルな柄模様はおしゃれで味わい深く、涼やかな着姿は女性に人気です。夏結城~なつゆうき●茨城県 ●素材:絹と麻野村半平の本場夏結城紬は、重要無形文化財の技術を駆使した夏結城の中でも最高級品で希少性も高く、生地の地風もよくこの上ない涼感を醸し出しています。越後上布~えちごじょうふ●新潟県 ●素材:苧麻新潟県の魚沼地方で織られる最高級の麻織物。手績みの苧麻糸を日本古来の機である地機で織り上げます。また、織り上がった反物を雪の上で晒す「雪晒し」はこの地方の風物詩で有名です。オゾンの働きによって不純物が取り除かれ、より美しくなります。片貝木綿~かたかいもめん●新潟県 ●素材:綿農業王国新潟の中で職人の町と呼ばれいる片貝。江戸時代から熟練の職人が育ち、その技を競い合っていました。染に使われる越後の藍は、最北の藍と呼ばれ深く濃く美しいのが特徴。独特の糸と織り方による粋な縞柄に、さらっとした着心地は、夏の暑さを忘れるくらいと言われています。駒上布~こまじょうふ●新潟県 ●素材:絹駒糸を用いることで生まれる、強いシャリ感と張りを持ち肌にまとわり付きません。軽く爽やかな地風が特徴。夏塩沢~なつしおざわ●新潟県 ●素材:駒糸本塩沢に比べて糸の撚りが強いため、通気性に優れ軽量でシャリ感が強いため、夏のおしゃれを楽しむ女性に人気があります。小千谷縮~おぢやちぢみ●新潟県 ●素材:麻耐水性、耐久性、通気性に優れた麻織物で、小千谷地方の代表的技法“湯もみ”によって生まれるシボが特徴。さっぱりと肌に爽やかな着心地が人気です。明石縮~あかしちぢみ●新潟県 ●素材:絹経糸、緯糸ともに、細めの撚糸を用いて織られ、湯もみによるシボが特徴の織物です。さらりとした肌ざわりと爽やかな風合いは、きものファンを魅了します。